by 八巻由利子
![]() |
映画の一シーンより(image:Foxsearchlight) |
黒人の映画監督は、1910年代から制作し始めたオスカー・ミショーをパイオニアとして、スペンサー・ウィリアムズ、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ、画期的だったスパイク・リーの登場以降に出て来たハドリン兄弟、ビル・デューク、ジョン・シングルトン、そして現在のタイラー・ペリー、リー・ダニエルズといった具合で数は増加しつつある。1990年代以降は、アカデミー賞の作品賞や監督賞へのノミネートもちらほらと出てきている。
しかし、今回のスティーブ・マックイーンは畑がちょっと違う。イギリス出身であるだけでなく幼少時から絵が得意で画家を目指して美術大学に行ったが「手に職を」という目的もあって映像作品を創り始めた現代アート作家だ。短編は20本以上ある。しかも、1999年にはイギリスの現代アート作家に授与されるターナー賞を受賞し、2009年のヴェネツィア・ビエンナーレの英国館代表を務めるという経歴の持ち主。彼の代表作といえるコンセプチュアルな短編映画『Deadpan』は、2014年初めまで2年間、NY近代美術館の現代アート・セクションで上映された。
![]() |
『Deadpan』のスチール・ショット(image:newmedia-art) |