アフリカン・ディアスポラ・ナウ from NY
ニューヨーク発。アフリカをルーツとする人々の歴史・文化・社会・思想を見つめながら、現代世界のあるべき姿を模索する。
2014年5月6日火曜日
「ルーツ」の主人公クンタ・キンテはムスリムだった!: 掘り起こされるもうひとつの黒人奴隷の物語
1970年代の大ヒットテレビドラマ『ルーツ』は、アメリカへのムスリム文化の導入を告げるパンドラの箱を開けていた?
by 大竹秀子
1977年に『ルーツ』は大ヒットし、テレビのミニシリーズの走りとなった
「ルーツ」(DVD)を観ていて驚いた。主人公のクンタ・キンテがムスリムだったからである。ムスリムをヒロイックな主人公としたテレビドラマが全米の茶の間をわかせる!9/11後のいまでは、想いもよらないことである。
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2014年4月14日月曜日
『それでも夜は明ける』という邦題のついた映画『12 Years a Slave(12年間ただの奴隷)』 に関して
2014年のアカデミー賞作品賞に輝いた『12 Years a Slave』の監督スティーブ・マックイーンのバックグラウンド、制作意図、映画のNYでの反響など。
by 八巻由利子
映画の一シーンより(image:Foxsearchlight)
今回、アカデミー賞作品賞を受賞したこの映画はいろいろな面で話題を提供している。ニューヨークでも劇場公開は昨年秋よりずっと続いており、主人公ソロモン・ノーサップによる原作本も、4月上旬まで3カ月ほど『ニューヨーク・タイムズ』書籍欄のヒットチャートのノンフィクション(紙・電子書籍総合)部門で1位に君臨。注目すべきなのは、初めて黒人監督作品が作品賞を取ったことだ。
黒人の映画監督は、1910年代から制作し始めたオスカー・ミショーをパイオニアとして、スペンサー・ウィリアムズ、メルヴィン・ヴァン・ピーブルズ、画期的だったスパイク・リーの登場以降に出て来たハドリン兄弟、ビル・デューク、ジョン・シングルトン、そして現在のタイラー・ペリー、リー・ダニエルズといった具合で数は増加しつつある。1990年代以降は、アカデミー賞の作品賞や監督賞へのノミネートもちらほらと出てきている。
しかし、今回のスティーブ・マックイーンは畑がちょっと違う。イギリス出身であるだけでなく幼少時から絵が得意で画家を目指して美術大学に行ったが「手に職を」という目的もあって映像作品を創り始めた現代アート作家だ。短編は20本以上ある。しかも、1999年にはイギリスの現代アート作家に授与されるターナー賞を受賞し、2009年のヴェネツィア・ビエンナーレの英国館代表を務めるという経歴の持ち主。彼の代表作といえるコンセプチュアルな短編映画『Deadpan』は、2014年初めまで2年間、NY近代美術館の現代アート・セクションで上映された。
『Deadpan』のスチール・ショット(image:newmedia-art)
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